21世紀に入り、関節リウマチの治療は大きく飛躍しました。
現在ではリウマチ治療の中心的薬剤(アンカードラッグ)として位置付けられている
メトトレキセート(商品名リウマトレックスなど)が1999年に日本での使用が承認され、
2003年には国内初めての生物学的製剤インフリキシマブ(商品名レミケード)が承認されました。
生物学的製剤とは遺伝子組み換え技術などを用いて人工的に作成した蛋白製剤の事です。
関節リウマチの原因は未だに明らかではありませんが、白血球の1種であるリンパ球やリンパ球が産生する
炎症性サイトカインといわれる物質が重大な役割を果たしていると考えられています。
現在数種類の生物学的製剤が臨床上用いられていますが、投与方法は点滴や皮下注射で、
自己注射も皮下注射ではおこなわれています。
通常メトトレキセートでも痛みや炎症が消えない患者さんや関節破壊が進行する患者さんに使用します。
発症してからの期間が長い患者さんでも日常生活での障害が軽減し効果が持続することも知られています。
また、発症早期の患者さんでは発症前と同じ生活を送ることも可能となっています。
全てのリウマチ患者さんが生物学的製剤の治療を受ける必要はありませんが、
関節破壊を出来るだけ抑制し、より快適な社会生活を送って頂くためには、生物学的製剤を含めた
積極的な治療を行う事が推奨されています。
生物学的製剤の重大な副作用は感染症ですが、感染症は多くの場合
使用開始6ヶ月以内に発症しています。
リウマチの状態の悪かった人ほど感染症の危険性が高くなりますが、生物学的製剤でリウマチが
落ち着いてくると感染症は起こりにくくなります。
また、リウマチの進行した患者さんも危険性が高くなります。
したがって、あまりリウマチがひどくなる前に使用することが感染症などの副作用予防の上で重要です。
まずはメトトレキセートをしっかりと使用することです。
十分量のメトトレキセートを使用すれば6割の患者さんで関節破壊を完全に阻止できたという
臨床試験の成績もあります。
また、メトトレキセートを併用することで生物学的製剤のより強い効果が期待できます。
私達は1000人以上のリウマチ患者さんの診療をおこない、現在使用されているほとんどの生物学的製剤の
開発治験や臨床試験をおこなってきました。
リウマチの治療、特にメトトレキセートや生物学的製剤については
インターネットなどで様々な情報が飛び交っていますが、心配し思い悩むよりまずは、
経験豊富な専門医である私達にご相談下さい。